マヌエル・M・ポンセ Manuel M Ponce

"旋律の天才"

(1882/12/8 メキシコ・サカテスカス州フレスニージョ生誕 1948/4/24 メキシコシティー没)

メキシコの曲として、最も親しまれ、有名な「エストレリータ」は、この作曲家により書かれたものと、知らない方は意外と多い。この曲がそれほどポピュラー化したことにより、かえって彼のクラシック作曲家としての存在が薄れたかもしれない。
この作曲家が活躍した20世紀前半のメキシコを含めるラテン・アメリカは、ギターやヴァイオリンなどの弦楽器、また、レコードの発明により、商業音楽としてのポピュラー音楽の目覚ましい発展の中にあったが、中南米の暑い気候や経済事情により、ピアノという楽器が、まだ一般に普及しておらず、ピアノ曲の楽譜出版が十分されていなかった点でも、ポンセや多くのラテンアメリカ作曲家のピアノ曲が知られる機会に恵まれなかった。
彼は、本格的に作曲をパリでポール・デュカに師事しているが、本来クラシック・ピアニストで若い頃からヨーロッパやアメリカでピアノ・リサイタルやコンチェルトを演奏し活躍していた。そのため当然、多くのピアノ曲を残している。
その作風はバロック・古典・ソナタ・ロマン主義・民族主義と、幅広いジャンルにわたって、100曲以上もの曲を書いて、それら全て成功に値する作品といえる。
彼の魅力のひとつは、シューベルト以来の「泉のごとく湧き出でる、珠玉のようなメロディー」にある。
まさに「旋律の天才」といえる。